図書館こども室で
夏休み中のある日、さゆりんにつきあって久しぶりに図書館の児童室に行き、待っている間にこんな本※をみつけました。
「刺しゅう」という言葉に魅かれて手にとったのですが、針と糸で描かれたすばらしい縫いとりの絵には、ナチスの時代を必死に生き延びたひとりのユダヤ人少女の体験が物語られていました。
著者エスターは、「なぜ語りたがらない人たちがいるの?」と聞く娘に、(恐怖の体験から)「戦争を忘れたい人もいるのよ」とやさしく諭すように応えています。
エスターは語らずにはいられず、語ることによって自分自身に起きたことを整理し受け止めたからこそ、こんなふうに書くことができたのでしょう。
そして、その娘バニースが、母から聞いたことをさらに分かりやすく書き加えてできあがったのがこの本です。
母と母の意思を継ぐ娘によって、こんな素晴らしい本ができたなんて…。
なんて素敵な親娘なんでしょう。
図書館こども室での思わぬ出会いでした。
※『母からの伝言 -刺しゅう画に込めた思い-』 / 作 エスター・ニセンタール・クリニッツ, バニース・スタインハート / 訳 片岡しのぶ / 発行 光村教育図書
(街暮らし №16)
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