9/26 尾瀬沼へ (尾瀬 その1)
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めっきり秋らしくなってきたので、どこかで静かな山歩きをしたくなりました。
意外なことに、尾瀬には行ったことがないという相棒のゆきさん。
それでは沼と原っぱをひととおり見に行くっていうのはどうでしょう。
のんびりとした散策ならこの季節にぴったりかもしれません…。
めずらしく平日にお休みができたので、三連休明けの月曜日に出発。
高速バスで大清水まで行き、三平峠を越えて尾瀬沼畔の長蔵小屋に泊ります。
まわりの木々の紅葉はまだまだでも、木の実はすっかり秋の色です。
きょうの行程は、長蔵小屋までゆるゆると上りながらの3時間ほど。
一ノ瀬の休憩所を過ぎると、山道が始まります。
「あら、ミニ奥入瀬みたいね」とゆきさん。
チョコレート色の落ち葉が、秋のメロディを奏でます♪
♪♪♪ オオツリバナは音符のようです ♪♪♪
「いかにも尾瀬」な木道をゆるゆると…。
ブナの木なども見られるようになって、都会暮らしの緊張が(って、ふだん緊張なんかしてないんですけどネ )解きほぐされていくような気がします。
足元の葉っぱの陰では、小さな赤い実が隠れんぼ。
こんな整然とした林を過ぎれば、三平峠ももうすぐです。
きょうは、シーズンオフの平日のせいかほとんど人に会いません。
私がこの道を歩いて尾瀬に入るのは、かれこれ15~6年ぶり。
なんだか雰囲気が違うと思っていたのは当然のこと…。たぶんまわりの木々もそのころからしたらずいぶん大きくなっていることでしょう。
この黒い実のなる木はなにかしら? 柄が紅くてとってもおしゃれです。
おや、木々の間から尾瀬沼が見え隠れするようになりましたよ。
これは…このままブローチにしたいようなグリーンの木の実。
あれこれと秋の森を楽しんでいるうちに尾瀬沼に出、左手に燧ヶ岳 を見ながら沼畔を行くようになりました。
いいお天気になるはずでしたが、雲が多く気温もいくぶん下がってきたようです。
木道脇の大きなミズバショウの葉に
初夏に咲く白い小さな花を思い浮かべながら進んで行きます。
のんびりと歩いて3時間半。今夜の宿、長蔵小屋に着きました。
尾瀬が初めてのゆきさんには、ぜひここに泊ってほしいと思った小屋です。
なぜって、「大自然の恩恵の下に集まりてこの大自然の美を享受せよ」と謳った、尾瀬とは切っても切れない長蔵翁ゆかりの小屋だからです。
磨きこまれた廊下も仕切りの障子戸も、とても懐かしい匂いがします。
この広い小屋に、今夜の宿泊客は7名。
私たちは床の間付きの8畳に二人でした。あたたかい炬燵も二人占めです。
小屋の方に「この時期の平日は、すいているのですか」と聞くと、「今年は少ないですね。…ここは、福島県なので…」という答えが返ってきました。
そう…原発事故の影響が、ここにもしっかりと影を落としているのでした。
* * * *
17時からの夕食が済む頃、沼の向こうに夕焼けが広がり始めました。
ダウンジャケットを羽織って、外へ出てみます。
なんという夕焼けなんでしょう!
刻々と変化していく紅赤朱橙のグラデーションを、ただただ息を呑んで見つめます。
大江湿原のほうへ目をやれば、三本カラマツの向こうに、しゃくなげ色に暮れてゆく空があり
あれは…
思うまもなく、三本カラマツの足元にはミルク色の夕霧がすぅーと忍び寄って
すべては暗い闇の中へと消えて行きました。
沼畔で夕陽が沈む一部始終を見ていた人たちは、いつまでもここを立ち去り難く、最後の光が沼の向こうに落ちるまでずっとたたずんでいたのでした。
かくして、尾瀬での素晴らしき第一日が過ぎて行きました。
きょうの一日にこころからの感謝を!
明日は、尾瀬ヶ原を歩きます。
2011.9.26(月)
新宿(高速バス)7:20-大清水11:10… 約3時間半…長蔵小屋
バス情報はhttp://www.kan-etsu.net/shinjyuku/index.htm
“尾瀬 その2”へ続きます(こちらから)。
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素晴らしい山行でしたね!
尾瀬は、もう30年以上も前のことになりますが、高校一年の夏休み、尾瀬沼の長蔵小屋で住み込みバイトをしたことがあるので、印象深いところです。
お盆までは、林間学校の小学生のためのカレーライスを何百人分も作ったり、掃除をしたりと大忙しでした。
盆を過ぎて、一日休みをもらって尾瀬沼に行ったのですが、燧ヶ岳のりりしい姿に感度したものです。巨大な荷物を持って歩くボッカもいて、すごいなあと感動しきりでした。
投稿: wahei | 2011年10月 1日 (土) 02時50分
Palletさん こんにちは。
水面に写る夕焼けと燧ケ岳なんて幻想的なんでしょう。
日帰りだとたくさんの素敵な景色を見逃してしまっているんだなと
実感しました。
尾瀬は特に泊りでゆっくり過ごしたいなぁ。
いつかきっとです。
長蔵小屋は昔々学生だった父が家で塾をしていた時の教え子が
お嫁に行ったとか聞いた事があり、こちらも泊まってみたいと
思っていました。素朴な感じでよいですね。
今年はもう尾瀬には行けなそうなので、記事がとても楽しみです。
投稿: ショウ | 2011年10月 1日 (土) 16時24分
こんにちは
waheiさん
ショウさん
コメントをくださったおふたりが、それぞれに長蔵小屋とご縁があっただなんて、なんて素敵な偶然なんでしょう!
高校一年生には、けっこう大変なアルバイトだったでしょう?
どういういきさつで?と興味が湧きますデス。
今回も、ボッカさんに出会いました。
70~80㎏くらい、背負うそうです。
燧ヶ岳は、どこから見てもほれぼれする形をしていますね。
>日帰りだとたくさんの素敵な景色を見逃してしまっているんだなと
そうかもしれませんね。
でも、この日は小屋の方も「めったに見られない夕焼けだった」っておっしゃるくらい素敵な夕焼けとなりました。
私も、尾瀬にはけっこうたくさん入っているのですが
今までで一番素敵な尾瀬だったかもと思っています。
投稿: pallet | 2011年10月 1日 (土) 17時13分
なんて素晴らしい夕焼けなんでしょう!
こんな柔らかい色の夕焼けははじめて見ました!
これは・・・たまりませんね(*^_^*)
palletさんはいつも空の変化を見つめているから、
空も心得ていて極上の空を見せてくれたのかも?ですね。
投稿: cyu2 | 2011年10月 2日 (日) 10時39分
✾cyu2さん こんにちは
。
秋らしい、ひっそり静かな場所でこんな素敵な夕焼けが見られて、
とっても幸せなひとときでした。
そうそう、こんな空の色を
極上の空の色って言うのかもしれませんね
投稿: pallet | 2011年10月 2日 (日) 11時13分
★palletさん、わかった!
>そうそう、こんな空の色を
極上の空の色って言うのかもしれませんね 。
私達二人とも、この空の色とその移ろいに魅せられて
「チョーうわの空」だったから、
おこたの中で翌日のコースタイムの検討をした時に
計算間違えちゃったんです。
普段ならどっちかが気がつくのに。
投稿: ゆき | 2011年10月 2日 (日) 11時52分
palletさん、ただいま。
夕暮れのグラデーション、
三本カラマツの足元を流れるミルク色の夕霧。
自然が創り出す色ってスゴイなぁ、
人の手では絶対につくれないなとつくづく思いました。
>おこたの中で翌日のコースタイムの検討をした時に
計算間違えちゃったんです(ゆきさんのコメントをちょっと拝借)。
palletさんとゆきさんでもそんなことがあるんですね。
ちょっと安心・・・ゴメンナサイ。
翌日のレポも楽しみです。
投稿: ヒサ | 2011年10月 2日 (日) 17時49分
こんにちは~
ゆきさん
。
ヒサさん おかえりなさ~い
。
ほんとに「チョーうわの空」だったわね。
あら、私はぼんやり地図見てただけで
計算なんかしてなかったわよ~
↑ と言うわけです。
>palletさんとゆきさんでもそんなことがあるんですね。
いつもこんななのよ。
よく、いままで遭難しなかったな~なんて思います
投稿: pallet | 2011年10月 3日 (月) 13時33分
夕暮れの写真ステキです。
尾瀬には3回行きましたが、お写真のようなキレイな夕焼けは見たことありません。
この頃の尾瀬は静でいいですね。
長蔵小屋は要チェック、次に尾瀬に行ったら泊まりたいと思います。
投稿: NON | 2011年10月 5日 (水) 11時59分
私も、こんなきれいな夕焼けは初めてみたような気がします。
長蔵小屋は、ゆったりした雰囲気があって好きな山小屋です。
いつか、泊ってみてくださいね。
投稿: pallet | 2011年10月 5日 (水) 17時03分